不動産賃貸業の会計上の特徴と減価償却費

こんにちは「百年投資家」です。今回は不動産投資と損益計算書、貸借対照表の関係について記載して行きたいと思います。不動産賃貸業(不動産投資)では貸借対照表、損益計算書において以下のような特徴があります。

不動産投資における貸借対照表(B/S)の特徴

運営費用

不動産投資(不動産賃貸業)は不動産を第三者に賃貸し、賃料収入(家賃)を得るビジネスです。第三者に賃貸する不動産を自らが保有する場合のほか、他の不動産所有者から賃借しこれを第三者に転貸する事で利益を獲得する方法もあります(サブリース)。

短期的には保有する不動産は売却を前提としていませんので、有形固定資産に計上される事になります。なお、本業として不動産賃貸業を行っていれば投資不動産勘定ではなく、通常の有形固定資産に計上される事になります。

貸借対照表(バランスシート)

取得した不動産は貸借対照表(バランスシート)の資産の部に計上され、借り入れを行なっていた場合、借り入れは負債の部に計上されます。その結果、総資産が大きくなる自己資本比率が低くなる流動比率が低くなるなどの特徴がB/S(バランスシート)上、出てきます。

減価償却費を計上していくと貸借対照表はどうなるか?

減価償却費

減価償却費を計上していくと貸借対照表上の資産の部の建物簿価を押し下げる効果があります。例えば平成30年度に建物1000万円を購入し、減価償却費を250万円計上したとすると決算日時点の貸借対照表上の建物簿価は750万円となり総資産を小さくする効果があります。

減価償却費と節税の関係

減価償却費は計上すればするほど、損益計算書上の経費となるとともに貸借対照表上の建物簿価を減少させていきます。上記の平成30年度に購入した建物の法定耐用年数が4年の場合、4年後の貸借対照表上の建物簿価は0となります(簿価とは帳簿上の価格のこと)。

しかし、実質価値が0円かと言うとそうではないケースが多々あります。例えば年間NOIが200万円の不動産(土地+建物)ならば還元利回り15%で売りに出せばすぐに売れるでしょう(還元利回り15%で想定される不動産の価値は200÷0.15=1333.33万円)。

もし、4年後に1300万円で売れた場合、帳簿上の建物価格が0のため不動産売却によって膨大な税務上の利益とともに膨大な税金が発生します。そのため、不動産投資ではあまり売買を多くしないほうが税引き後のCIFが残りやすいです(税引き後のCIFについては「収益物件は売ると膨大な税金が発生する」「課税事業者で投資物件購入時の消費税の計算と節税」などをご覧ください)。

不動産投資における損益計算書(P/L)の特徴

不動産賃貸業は不動産から生じる果実たる賃料収入で利益を獲得します。損益計算書では賃料収入のほか、礼金などの借主に返還されない収益も計上されます。

経費には賃貸不動産に直接関係する費用である管理費や仲介手数料、修繕費、減価償却費、固定資産税などが計上されますが、小売業などの仕入れ(売上原価)に該当する部分は無く、一般的に他の事業に比べると利益率が高く、節税効果も高いです。今回の記事が不動産投資の参考になりましたら幸いです。