新築アパート経営で勝つための3層モデルと差別化戦略

こんにちは「百年投資家」です。今回は新築アパート投資の製品戦略(間取り、外観、駐車場、付随サービスなど)について記載していきたいと思います。中古物件を購入する場合に比べ新築アパート投資ではマーケティング戦略が重要となります。

マーケティングとはAMAの定義によると下記のようになっており、売れる(不動産で言えば、客付けし稼働させる)仕組みを追求する学問です。これは不動産投資にも応用できこのマーケティングの視点がないと不動産投資で成功するのは困難となります。今回はマーケティングの4P(Product Place Price Promotion)の製品(Product)について見ていきたいと思います。

1985年の定義

マーケティングとは、個人目標及び組織目標を満たす交換を創造するための、アイディア、商品、サービスのコンセプト、価値設定、プロモーション、流通の計画と実行のプロセスである。

2004年の定義

マーケティングは組織的な活動であり、顧客に対し価値を創造し、価値についてコミュニケーションを行い、価値を届けるための一連のプロセスであり、さらにまた組織および組織のステークホルダーに恩恵をもたらす方法で、顧客関係を管理するための一連のプロセスである。

新築アパート投資の製品戦略

アパート経営
製品とは顧客(入居希望者)のニーズやウォンツを満たす目的で市場に提供され、注目・獲得・使用・消費の対象となるすべて物のことです。

不動産投資の製品戦略(物件自体の間取りや構造などの戦略)は中古物件投資の場合、既存の中古物件を買うため限定的な裁量権しかありませんが、新築物件の場合、間取りや大きさ、駐車場の数、内装などすべてについて予算の範囲内で裁量権があります。

そのため、中古物件投資に比べ製品設計に時間をかける必要があります。製品設計で参考になるのはコトラーの3層モデルや製品差別化戦略でコトラーは製品を下記のような3層に分類しました。

コトラーの3層モデル

3層モデル
(画像引用元:http://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ha/three-levels-of-product-models.html)
アパートや一戸建てなどの不動産の場合、中核となるベネフィット・サービスは抽象的に分類すると「快適な居住空間」でしょう!ただ、この核については具体的に掘り下げた場合、入居者のターゲットによって異なります。

例えば治安の悪い地域では「安全な居住空間」が核になるでしょう!また、子育て世代などをターゲットにした場合は「子育てに良い居住空間」の設計が重要となります。

そして製品の実態(形態)としては「安全な居住空間」ならばセキュリティーを重視して監視カメラを設置する、割れにくいガラスを採用する、オートロックを導入するなど入居者ニーズに適した製品(部屋)を作成する必要があります。

最後に付随機能としては「安全な居住空間」を望む入居者をターゲットにしているのならば守衛さんや警備員さんが常駐するアパートやマンションにする方法やホームセキュリティー業者(アルソックなど)と契約を行う方法などがあります。

付随機能は上記のように中核価値に間接的に影響を与えるもの以外にも24時間ゴミ出し可能、女性限定アパートなどのサービスも存在します。

製品差別化戦略

差別化戦略

製品差別化とは、自社製品を他社製品から区別させるため、品質、デザイン、イメージ、ブランド、包装、販売条件、付随サービスなどの特徴を付け加え、この特徴を入居者に強調する事です。

一般的にどの業界でも共通ですが、製品(不動産の場合は部屋・間取り・外観・サービス・ブランドなど)の機能面にあまり差異が無い場合、価格競争は激化する傾向があります。製品差別化のポイントとしては下記のように3つの方法があり、レオパレスなどはイメージ的な差異を狙いブランド化しています。

差異 説明
物理的な差異 製品の用途が同じで、製品の性能、構造、デザインなどに差異がある場合に生じる 不動産の場合は間取り、外観、キッチン、ユニットバス、トイレ、建て具、ガラスの種類などハード面での差別化
イメージ的な差異 広告などの積極的な販売促進によって、消費者がその製品に対してブランド選考を持っている場合に生じる レオパレスなどの物件名・ブランド名での差別化(不動産賃貸業ではあまり導入されていない)
サービス的な差異 情報提供、アフターサービス、信用供与などの付帯サービスに違いがある場合に生じる  24時間ゴミ出し可能、女性限定アパート、ホームセキュリティー、ペット可などソフト面での差別化

不動産投資のマーケティング戦略まとめ

マーケティング
((画像引用元:support.iflag.jp))
今回はマーケティング戦略の製品戦略の一部について触れて見ました。新築物件では投資額が大きくなる事から「コトラーの3層モデル」をベースにして「製品差別化戦略」を構築し、物件をプロデュースする能力が必要となります。

一般的なビジネスの業界だと物理的な差別化は殆ど手を尽くされており、イメージ的な差別化やサービス的な差別化で競争する業界が殆どです(一般的に物理的な差別化は容易なのに対し、イメージやサービス面での差別化は時間がかかり成功する確率が低いです)。

しかし、不動産業界ではまだ物理的な差別化の余地があります。例えば「内窓の入った断熱性能の高いアパート・一戸建て」や「床暖房の入ったアパート・一戸建て」の賃貸物件は殆ど供給されていません。

寒冷な地域ならば子育て世代向けに断熱性能の高い賃貸物件の需要は高いはずです。そのような物件が供給されていない地域に、新築物件として高断熱物件を供給すれば近隣物件と差別化でき、高家賃でも稼働させる事ができると思います。今回の記事が不動産投資やアパート経営の参考になりましたら幸いです。