新築アパート経営の家賃戦略とポジショニング分析

こんにちは「百年投資家」です。今回や他の大家さんに負けないための家賃(価格)戦略について記載して行きたいと思います。価格戦略はマーケティングの4Pの内の一つで不動産投資(不動産賃貸業)では重要な戦略となります。

新築アパートの家賃戦略と価格の概念

マーケティング
この記事は「大家業の経営学」として掲載しているため、まずは学術的に価格というものはどのような概念から構成されるかについて見て行きたいと思います。

支出の痛み 消費者が支出を痛いと感じること
品質バロメーター 消費者が製品などの品質を正しく判断できない場合、価格で品質を推し量ること
プレステージ性 消費者が価格の高さに、ステータスや社会的地位の高さを感じること

価格概念の構成次元は上記のようになっております。品質バロメーターはサービス業などの場合、該当し、商品が無形で消費者にとってわかりにくい場合、価格が高い=品質が高いと消費者が判断する傾向があります。

また、プレステージ性とは六本木ヒルズの賃貸などを考えるとわかりやすいでしょう!六本木ヒルズの賃貸は家賃が高いことで有名ですが入居者は一般的に経済的合理性よりもステータスや地位の高いさを感じるブランドとして六本木ヒルズに入居している方がほとんどでしょう!

この「価格概念」のフレームワークは「アパート設計(Product)」や「物件の広告宣伝(Promotion)」にも役立ちますので新築アパート経営や新築マンション経営を考えている場合、覚えておいて損はないです。

賃貸物件の家賃設定方法

ビットコイン

賃貸物件の家賃設定方法としては大きく分けると以下の2つの方法があります。大家としては内的要因と外的要因を考慮した上で家賃設定をする必要があります。

内的要因からの家賃設定 外的要因からの家賃設定
  • 製造コスト
  • マーケティングコスト
  • 製品特性
  • マーケティング目的
  • 流通チャネルと販売方法
  • 競争状況
  • 自社の地位
  • 顧客の状況
  • 需要
  • 経済・政治・法律的状況

不動産投資でもっとも重要なのは外的要因からの家賃設定で競争志向型の価格設定方法(家賃設定方法)が有効です。また、家賃は需要の価格弾力性が比較的大きく、競合のいない価格帯を攻めることができれば中々埋まらない空室をすぐに埋めることができます。

競争志向型価格設定法

競争志向型価格設定法とは競合大家がつける家賃に基づいて、家賃を設定する方法です。差別化されている商品(部屋)だとしても競争志向型の価格設定が必要で市場と乖離した家賃の場合、客付は困難です。

需要の価格弾力性とは

需要の価格弾力性とはある製品(家賃)の価格が変化した場合、需要がどれだけ変化したかを示す比率の事です。市場をいくつかのセグメントに細分化し、セグメントごとの需要の価格弾力性を算出することによって各セグメントにあった価格を検討することができます。不動産投資では地域や物件のターゲットに毎に需要の価格弾力性が異なります。たとえば六本木ヒルズなどでは家賃を安くしたから需要が上がるという事はありません。「価格の概念」で記載した「支出の痛み」を感じる商品の場合、一般的に需要の価格弾力性が高いと言えます。

ポジショニング分析と家賃設定

ポジショニング

最後に紹介するのはポジショニング分析です。このポジショニング分析はマーケティングの4Pを展開する前のターゲティング戦略(どの市場を狙うかという戦略)で使用しますが価格戦略で使うこともできます。

家賃はほとんどの方にとって「支出の痛み」を伴うものであり、ブランド品や六本木ヒルズのように、経済的な価値に比べ割高な価格を払うことで優越感に浸ることは無いでしょう(ブランド品などの製品の中核は「他者と比較した優越感」等です。そのため、製造原価に比べ高価格な価格帯で販売し、ブランドイメージを高めるためのプロモーション戦略・立地戦略にお金をかけています)。

ポジショニング分析の具体例

競合物件
(画像引用元:at home)
ポジショニング分析をする上で重要なのは「どの軸で分析を行うか?」ということです。私がオススメなのは「価格×付加価値」の軸で分析する方法で、例えば「家賃×トイレ2個」「家賃×広さ」「家賃×床暖房」「家賃×ペット可」「家賃×バストイレ別」など様々な切り口で分析する方法です。

上記のような切り口で「at home」「suumo」「homes」などのポータルサイトを使い競合を分析します。すると、ある条件で競合が存在しないブルーオーシャン市場や競合が弱い市場が出てくることがあります。

競合物件

需要がないブルーオーシャン市場はなんの意味もありませんが需要のあるブルーオーシャン市場はお宝です。具体的にはファミリー向け需要がある地域なのに60㎡以上でトイレが2個付いている物件が無いなどです。

4〜5人程度のファミリーがターゲットならばトイレが2個欲しいというニーズはあるでしょう。また、防音が優れた部屋に住みたいというニーズもあると思います。そのような人たちのニーズを満たす物件を競合より安い家賃で提供できれば客付(入居してもらう事)する事は難しくありません。

また、競合の家賃が高すぎる場合は競合に比べ安い家賃で同一品質の部屋を市場に供給すれば簡単に客付できます。今回の記事がアパート経営や不動産投資の参考になりましたら幸いです。