こんにちは100年投資の未来です。今回はAmidAホールディングス(ハンコヤドットコム)のビジネスモデルや財務諸表などについて詳しく見ていきたいと思います。
amidaは投資先を探している間にたまたま見つけた会社でハンコヤドットコムを中心としたEC(物販)の会社です。
私自身がECの会社を経営していたこともあるため、ビジネスモデル的にはシンプルで理解しやすいですが、メインの商材は印鑑(ハンコ)となっており、脱ハンコの外部環境をどのように判断するかによって評価が分かれます。
分析手法
分析には5フォースモデル、キャッシュフロー計算書、損益計算書、貸借対照表、各種統計データを使用します。また、競争優位性について「無形資産(ブランド・行政の許可・特許)」「スイッチングコスト(習慣・探索コストによるスイッチングコストを含む)」「ネットワーク効果」「低価格提供力(規模の経済性・独自資産の保有性)」の観点から分析を行います。
AmidAホールディングスのキャッシュフロー・業績推移
上記はAmidAホールディングス(7671)のキャッシュフローの推移です。上場後、年月があまり経過していないため5年程度と期間は短いですが、毎年確実にフリーキャッシュフロー(フリーCF)を出すことができており、4%近い配当金を出した後でも、現金を着実に蓄積できています。
オービックほど良いCF推移ではありませんが、このようなCF推移の会社への投資は報われる可能性が高く、割安水準(株価オーナー利益倍率が低い水準)で購入できれば負ける可能性は0に近いです。
株価オーナー利益倍率は?
私が計算したAmidAホールディングス(7671)の株価オーナー利益倍率(POPR)は上記の通りです(クリックすると画像が大きくなります)。
オーナー利益はキャッシュフロー計算書から「有形固定資産の取得による支出」「無形固定資産の取得による支出」を差し引いて計算しました。
また、この会社は貸借対照表(バランスシート)上の現預金の比率が非常に高く、全負債を所有現金で全て完済しても膨大な現金が余ります。
このような会社がROEやROICを重視した資本政策に転換すると所有している三ツ星ベルト(5192)、パイオラックス(5988)、日東工業(6651)のように暴騰することがあります。
現時点でPOPR8.6倍、現金を加味した実質ベースで3.6倍なのでかなり相対的に割安感があります。
これだけの現金を所有していてもPBRは1倍を割れており、バランスシートには記載されていない、自社で作ったブランドやWEBサイトなどの価値を加味すると、数年後FCFが赤字転落する事を織り込むレベルの株価水準と言えそうです。
ROICとはReturn On Invested Capitalの事で、計算式はROIC=税引後営業利益÷投下資本(投下資本 = 有利子負債+株主資本)となります。ROEは分母が株主資本≒自己資本のみなのでレバレッジをかけると上がりますが、ROICはレバレッジをかけても借入による投資でしっかりとした利益が出ないと上がりません。百年投資家が投資している会社は借入が殆どないのでROEで分析することが多いです(ROEは通常公表されています。一方、ROICは通常公開されていないので自分で計算する必要があり少し手間がかかります)。
AmidAホールディングスの競争優位性・ビジネスモデル
AmidAホールディングスの所有しているビジネスはハンコヤドットコムを中心としたEC事業となっています。近年は商材の展開を進めており、新規主力サイトの一つであるミコミルでは多様な商品展開が見て取れます。
ただ、ハンコ以外の商材の売れ行きはそれほど良くなく、売上の過半数はいわゆるハンコ(彫刻とスタンプ)で構成されています。
また、BtoCのEC事業自体はスイッチングコストはほとんどなく、消耗品やSaaS型、不動産賃貸業などと異なり、ストック性も高くありません。
指名検索されているのでブランド力はそれなりに高いと言えますが、そもそものハンコ需要自体が消滅すると売り上げは壊滅的なダメージを受ける可能性があります。そのため、ハンコ市場自体が脱ハンコの流れでどのようになるのかを考える必要がありそうです。
ハンコ市場は無くなるか??
ハンコ市場自体は縮小する傾向はあると思います。ただ、私自身、士業をしていますし、周りの弁護士や司法書士、行政書士、税理士などと話をしていても実印に変わる利便性の高い制度を作らない限りハンコ市場が完全に無くなる事は考えにくいと考えています。
相続手続きでは遺産分割協議書に必ず、実印が必要です(外国に居住しており印鑑証明書が取得できない場合はサイン証明といった制度もあるが通常は実印と印鑑登録証明書が必要)。
また、不動産売買でも実印は必要です。意味のよくわからない認印自体の使用頻度は少なくなる可能性がありますが、 amidaのビジネスは印鑑の使用頻度ではなく、所有者数が問題になるビジネスなので頻度が落ちたとしてもそれほど影響は受けないと考えています。
なお、士業(弁護士、司法書士、行政書士、税理士など)は士業印を作り、実印のように登録するため、登録者数が増える=市場規模の増加と見てとることができます(上記画像は弁護士数の推移)。
実は士業の数は年々増加しており、少なくとも短期的には市場が縮小する傾向は見て取れません。
相続など実印が必要な手続きの件数も年々増加していることから5年〜10年単位でハンコ市場が消失する事は考えづらく、少なくとも現時点の株価水準はネガティブな内容を織り込み過ぎていると感じます。
AmidAホールディングスへの株式投資まとめ
いかがだったでしょうか?amidaは現在、配当利回りが4%弱あり、証券会社によっては貸株で0.5%〜1.75%の貸株料をもらうことができます。
そのため、正直、株価が上がらなかったとしても悪くないリターンと言えます。また、「資本政策(ROEを重視するなど)の変化」や「スイッチングコストの高い新規ビジネスの立ち上がり」によって株価が暴騰する可能性があります。
数ヶ月などの短期でリターンが出るかは不明ですが、数年単位ならば悪くない投資と考えて600株ほど打診買いしました。今回の記事が株式投資の参考になりましたら幸いです。