こんにちは百年投資家です。今回は12棟目の物件になる投資用一戸建てについて紹介して行きたいと思います。
この物件は築古物件でよくある表題未登記(登記事項証明書の表題部の登記がない物件)となっており通常の投資物件と比べると若干ですが、難易度が高くなっています。
表題未登記とは
表題登記とは謄本(全部事項証明書)の表題部へ不動産情報を登録する事です。通常の不動産売買では表題部・権利部(甲区)の登記がされていますが、融資などを利用せずに不動産を新築した場合、表題登記が行われていない事が多々あります。
建物の表題登記が行われていない築古物件は土地で売りに出ていることが多く、建物価値はマイナスで計上されています。
そのため、このような表題未登記物件で状態の良いものを「土地−解体費用」購入し、賃貸で貸すことができればNOI利回り(実質利回り)20%を超える高利回り投資を実現することが出来ます。
不動産登記法
不動産登記法上、所有者にはその工事完成後1カ月以内に、建物につき表題登記申請を行う義務が課されており、これを怠ると10万円以下の過料に処するとも規定されています(不動産登記法第164条)。
しかし、土地家屋調査士などに聞いた限りでは過料の事例は聞いたことが無いと言っていたので表題登記をしなかったとしても過料になることは無いでしょう!ただ、売るときには表題未登記はマイナスポイントとなってしまうので登記をしたほうが良いと思います。
表題未登記でも賃貸できるか?
表題未登記物件は権利部の登記(保存登記)もないため第三者対抗要件はありません。そのため「売主と買主」「貸主と借主」の関係では問題ありませんが、それ以外の第三者との関係では権利主張をすることはできません。
そのため、例えば今回の未登記物件の売主Aが私と第三者Bに同一物件を売却した場合、登記を行わなければ私は第三者Bに所有権の権利主張をすることはできません。
東京などの価値の高い不動産では権利部登記がされていない不動産の仲介(媒介)はトラブルになる可能性があるため、敬遠される傾向がありますが、地方では総額100万円や200万円程度ですし、売主が2重譲渡をすることは皆無なので、普通に仲介をしてくれます。
ただ、後々オーナーチェンジや実需向けに売却する場合、登記されていたほうが高く売れるので個人的には登記してしまったほうが良いと考えています。
なお、表題登記のためには下記の家屋課税台帳登録事項変更手続き(市区町村によって呼び名が異なる)が必要なため、必ず行うようにしましょう。
家屋課税台帳登録事項変更手続き
家屋課税台帳登録事項変更手続き(市区町村によって名称は異なる)を行ったからと言って第三者対抗要件を具備するわけではありませんが、家屋課税台帳登録事項変更手続きを行わないと表題登記を行うことができませんし、第三者が登記を入れてしまうリスクが上がってしまいます。
不動産会社が未登記建物の売買に慣れていれば問題ありませんが、慣れていない場合、不動産投資家から案内を行い、売主から実印の捺印をもらうなど、手続きに必要な書類作成を行います。
どのタイミングで表題登記
表題登記のタイミングとしては「売主が売却前に表題登記を入れる」「土地の所有権移転後、買主が表題登記を入れる」の2つのパターンがあります。
「売主が売却前に表題登記を入れる」と所有権移転登記時に建物の登録免許税が発生してしまうため、土地の所有権移転後、買主が表題登記を入れたほうが法定費用(登録免許税)が安く済みます。
ただ、購入後、買主が表題登記を入れるためには建物の所有権を立証する添付書類(下記の建物の所有権証明書の添付基準を参照)を集めにくいという欠点があります。そのため、事前に法務局や土地家屋調査士に相談を行い、準備をした上で、売買に望むことが重要です。
建物の所有権証明書の添付基準
建物の所有権証明書の添付基準では次の[A]主たる所有権証明情報の中から原則として2点以上の添付が求められます。
また、[A]主たる所有権証明情報が1点の場合は、次の[B]その他の所有権証明情報から1点の計2点以上の添付を求める(都道府県によって若干異なります)。
A主たる所有権証明情報
- 確認済証と検査済証(築古物件の場合、通常無い)
- 工事完了引渡証明書(築古物件の場合、通常無い)
- 敷地所有者の証明書(借地の場合)
- 固定資産税の納付証明書(原則として過去3年分添付)
- 固定資産税課税台帳登録事項証明書及び納付受領書
- 建築工事請負契約書及び工事代金領収書(築古物件の場合、通常無い)
- 建築主事の行政証明書(築古物件の場合、通常無い)
Bその他の所有権証明情報
- 火災保険加入証書
- 隣地所有者の証明書(印鑑証明書添付)
- 借家人の証明書(印鑑証明書添付)
- 建物売買契約書(印鑑証明書添付)
- 土地賃貸借契約書
- 相続証明書(印鑑証明書添付)
- 電気・ガス・水道等設備工事人の証明書
- その他所有権を証するに足りる情報(上申書等)
所有権移転後、3年以上経過していれば「固定資産税の納付証明書(原則として過去3年分添付)」「固定資産税課税台帳登録事項証明書及び納付受領書」で表題登記の申請を行うことができます。
3年未満の場合は「固定資産税課税台帳登録事項証明書及び納付受領書」と「建物売買契約書(印鑑証明書添付)」で申請を行うことが一般的です。
建物売買契約書は通常、売主は実印での捺印を求められませんが、可能ならば実印で捺印してもらい印鑑登録証明書を添付し表題登記申請をすると良いでしょう!
表題未登記物件への投資まとめ
表題未登記物件は通常の投資物件と比べると若干難易度が高くなりますが、筆界未定物件と同様に20〜30%程度の高利回りが期待できますので建物の状態が良ければ買って問題ないと考えています。今回の記事が不動産投資や大家業の参考になりましたら幸いです。