こんにちは100年投資の未来です。今回は日本最大の総合電機メーカーである日立製作所(6501)の業績やキャッシュフロー推移について分析していきたいと思います。
日立製作所は近年、各業界の有力上場企業を傘下に抱えるコングロマリットからIT・エネルギー・社会インフラを中心とした事業体へとグループ事業の再編を加速しています。
日立製作所のキャッシュフローを分析
画像は日立製作所の営業キャッシュフロー(投資CF)、投資キャッシュフロー(投資CF)、フリーキャッシュフロー(FCF)の推移です。
減価償却費が膨大なため営業CFが6000億円を超える水準になることもありますが、投資CF(主に設備投資)が大きいため、FCFはあまり出ていません。
日立製作所のPERは予想値で8.7倍と割安感がありますが、13年間の平均PFCFR(株価フリーキャッシュフロー倍率)は「3,794,641百万円(時価総額)÷137,807百万円(13年間の平均FCF)=27.5倍(利回り3.6%%)」となっており、百年投資家が重視しているPFCFRでは株価に割安感はありません。
(日立製作所の決算短信より引用)
日立製作所の各種投資指標を分析
各種投資指標
- PBR(実):1.15倍
- PER(予):8.7倍
- ROE(実):6.81%
- 13年間の平均PFCFR:27.5倍
PBR(株価純資産倍率)についての分析
日立製作所のPBRは1.15倍と1倍に近いですが、製造業の有形固定資産(設備)は会社と切り離された場合、簿価よりも遥かに低い価値(時価)しかないため、日立製作所の場合PBRは投資の目安にはならないでしょう(総資産の大半が現金の企業などだと通常、PBR1倍以下に株価がなることは滅多にないです)。
PER(株価収益率)についての分析
予想PERは10倍以下となっておりPERでの評価は割安感がありますが、営業CFは13年間伸びておらず、膨大な設備投資を継続的に行わなければ収益を維持することができないホンダやトヨタ自動車などと近いビジネスモデルです。
そのため、会計基準による差異やメンテナンス投資が加味されていないPERも投資尺度としてはあまり意味がないでしょう(PERが低くても割安とは言えない)。
ROE(自己資本利益率)についての分析
ROEは平均すると10%弱の水準となっており、まずまずですが、所有している現預金を超える1,004,771百万円の借入金(レバレッジ)を使って10%弱なので数字としてはよくありません。
ROE(当期純利益÷自己資本)は会計基準によって分母の当期純利益が異なり、買収をよく行う企業の場合、日本の会計基準よりも国際会計基準(IFRS)の方が利益が出やすくROEが高くなる傾向があります(日立は2014/03期からIFRS)。
百年投資家やバフェットは日立製作所へ投資するか?
日立製作所の10年間のチャートを見ると営業CFは伸びていないにも関わらず株価は上昇しています(当時に比べ収益力は変わってないのに価格が上がった=割高になった)。
ウォーレン・バフェットの場合、ブランドや消費者独占力を重視しており、BtoBに近いビジネスが主になってきた日立への投資は行わないと思います(ビジネスを回すことでキャッシュが出るようになったのはここ3年程度ですし、現時点では借入依存度が高い点もマイナス評価でしょう)。
百年投資家の場合、直近13年の分析からは日立製作所に対する魅力は全く感じられなかったので長期投資をする可能性は限りなく0に近いですが、スイングトレードも行うので、短期的に株価が大幅調整した場合、利ざやを抜くためにポジションを取る可能性もあります(PFCFRが10倍程度まで調整すれば買うかもしれません)。今回の記事が株式投資の参考になりましたら幸いです。