こんにちは100年投資の未来です。今回は自動採血管準備装置のファブレス企業であるテクノメディカの業績・CF・配当・オーナー利益などについて分析していきたいと思います。
分析手法
分析には5フォースモデル、キャッシュフロー計算書、損益計算書、貸借対照表、各種統計データを使用します。また、競争優位性について「無形資産(ブランド・行政の許可・特許)」「スイッチングコスト(習慣・探索コストによるスイッチングコストを含む)」「ネットワーク効果」「低価格提供力(規模の経済性・独自資産の保有性)」の観点から分析を行います。
テクノメディカのキャッシュフロー推移を分析
画像はテクノメディカ(6678)の営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー(FCF)などの推移です。
デジタル・インフォメーション・テクノロジーなどと比べると見劣りしますが、2010年からは毎年FCFを上げることができており、好感が持てます。
一方、損益計算書については売上高の増加に対して営業利益の伸びは乏しく、営業利益率は低下傾向となっています。
テクノメディカのオーナー利益倍率
上記はテクノメディカ(6678)のオーナー利益の推移とオーナー利益倍率(POPR)です。オーナー利益は営業活動によるキャッシュフローから有形・無形固定資産取得による支出を差し引いて計算しました。
ファブレス企業のため、設備投資負担が少なく、FCF(フリーキャッシュフロー)が出やすくなっています。そのため、会社には現預金が蓄積されており、時価総額139億円に対して現預金が115億円もあります。
8期平均の株価オーナー利益倍率は12.1倍、蓄積された現金を加味した実質ベースで4.5倍なのでかなり割安感があるといえます。そのため、昨今は投資ファンドから現金を圧縮し資本効率を上げるよう下記のような株主提案がされています。
テクノメディカの競争優位性・ビジネスモデル
テクノメディカは自動採血管準備装置で圧倒的なシェアを持っており、装置の販売と消耗品の販売が2本柱となっています。
消耗品の販売は「キャノンのプリンターモデル」「ジレットのレイザー&ブレードモデル」と同様に消耗品のストック収入で安定的に収益を得ることができます。
ビジネス上、この消耗品部分が柱となっており、万が一この部分が崩れると収益性が大きく低下する可能性があります。そのため、投資する上で2022年4月1日に発表があった採血管供給事業からの撤退のインパクトがどれくらいか見極める必要がありそうです。
なお、消耗品等の事業内容は採血管供給のみではなく有価証券報告書に記載がある通り、装置保守なども含まれていますので思ったよりもインパクトが小さい可能性もありますが、注意深く見ていく必要がありそうです。
テクノメディカ(6678)の資本政策(ROE・配当金など)
テクノメディカはこれまでIRでの資本政策への言及は少なかったですが、2022年5月に公表された長期ビジョンでROE10%の目標が掲げられています。
現在のROEは7%弱となっており、今後も現在と同等水準の配当性向を続けた場合、ROEは下がり続けてしまう可能性が高いです。
そのため、ROE10%を達成するためには「配当金の大幅増額を行い自己資本を圧縮する」「自社株買いを行い自己資本を圧縮する」「自己資本の増加以上に利益を増加させる」といった選択肢しかありません。
急激な利益成長ストーリーは描けないため、今後は配当金の増額や自社株買いを行う可能性が高く、2030年に向けて株価が上昇していく可能性が高いと考えています。
テクノメディカ(6678)への株式投資まとめ
いかがだったでしょうか?テクノメディカ(6678)は消耗品ビジネスの動向が気になりますが、数値目標でROEの目標値を掲げており、今後、資本政策が好転する可能性が高いと考えています。
現在は200株しか保有していませんが、消耗品ビジネスについて撤退のインパクトが判明した段階で追加投資するか資本を引き上げるか意思決定したいと考えています。今回の記事が株式投資の参考になりましたら幸いです。