新築アパート経営の立地戦略とドミナント戦略

こんにちは「百年投資家」です。今回は新築アパート経営の立地戦略・ドミナント戦略について記載して行きたいと思います。立地戦略はマーケティングの4PのPlaceに該当します。一般的にマーケティングではPlaceは流通チャネル戦略となりますが不動産投資の場合、流通がないので立地戦略に置き換えて分析して行きたいと思います。

不動産投資の立地戦略

マーケティング

不動産投資の場合、ドメイン(事業領域)と立地戦略は密接に結びついています。そのため4P(Product Price Place Promotion)を展開する前のドメイン選定の段階から立地戦略(Place)を考える必要があります。

中古物件の場合は、どの立地に物件を作るかということを考える必要はなく投資の意思決定の段階で「その市場の顧客層はどのような人か?」を分析します。つまり、物件(立地)が先に存在し、その物件(立地)が戦えるか否かで投資するかしないかの意思決定をします。

それに対して、新築アパートや新築戸建投資では「どの立地に」「どのような収益物件」を作るかが非常に重要となります。そして、立地はドメインである「誰に(標的顧客)」「何を(顧客ニーズ)」「どのように(自社の独自能力)」と密接に結びついています。

ドメイン

例えば「30代で子供がいる夫婦向け(誰に)」に「子育てのしやすい部屋を(何を)」「デザイン力・市場調査力を元に物件を企画し提供する(どのように)」

上記のようにドメインを選定したとするとします。すると立地戦略としては「30代で子供がいる夫婦が多い」地域を選定していく必要があります。

立地戦略とドメイン選定の難しさ

個人的にドメイン選定で難しいのは「どのように(自社の独自能力)」の部分です。この「どのように」の部分では「自社や自身の強み」を生かす必要があります(自社や自身の強みを活かせれないドメイン(事業領域)ではすぐに競合に負けてしまいます)。

先ほどの例の場合、新築アパートを経営しようと考えている大家さんが「30代の子育て世代向けに別のビジネスをしていてターゲット顧客のニーズを深いレベルで知っている」など、競合に比べた強さが必要となります。

なお「強さ」というのは単独で存在しているのではなく、あくまでも競合と比較としての強さです。自社も得意だけど、競合はもっとすごいとなると、それは「強み(自社の独自能力)」にはなりえません(この競合に比べた強さを分析する手法としてはVRIO分析が有名です)。

不動産投資で有効なドミナント戦略

点検

ドメインとの直接の関わりはないのですがドミナント戦略はドメインや立地を選定する基準として有効な考え方です。

ドミナント戦略とは小売店(特にコンビニ・スーパー)などで取られている出店手法で、ある商圏に集中的に複数店舗を出店する事で「物流コストの削減」「商圏内の知名度の向上」「スーパーバイザーや営業担当者の訪問効率の向上」「広告・販売促進効率の向上」を図ります。

不動産投資とドミナント戦略

不動産投資でもドミナント戦略は有効で「リフォーム業者選定時間の短縮」「客付会社選定時間の短縮」「物件訪問の効率化」「DIYリフォームの効率化」「地域経済や顧客動向知識の蓄積」などを図ることができます。

もちろんいい面ばかりではなく悪い面として、一つの地域に資本を集中するためリスクが上がります。そのため、資産規模が小さなうちはドミナント戦略で一点集中しその後、物件が増えてきた段階で立地を分散させポートフォリオを構築すると良いでしょう!

立地戦略まとめ

新築収益物件投資では立地戦略・ドメイン選定はかなり重要です。ドメイン選定の中でも特に重要なのが「どのように(自社の独自能力)」の部分で、この「どのように(自社の独自能力)」を分析する手法として経営学の分野ではVRIO分析をよく使います。

VRIO分析は不動産投資でも役に立つ分析手法なので次回にでも紹介したいと思います。今回の記事がアパート経営や不動産投資の参考になりましたら幸いです。