新築アパート経営の経営資源とVRIO分析

こんにちは「百年投資家」です。今回は不動産投資の経営資源分析で活用できるVRIO分析について記載していきたいと思います。

新築アパート投資などでは事業領域(ドメイン)を設定し、その事業領域に対して新築アパートを建築しビジネスを展開します。事業領域の設定では「誰に(標的顧客)」「何を(顧客ニーズ)」以外に、自身の経営資源を活用できるかという視点である「どのように(自社の独自能力)」が必要となります。この「どのように(自社の独自能力)」を分析する手法が今回紹介するVRIO分析です。

新築アパート経営とVRIO分析

VRIO分析

VRIO分析とは企業が従事する活動に関して発すべき4つの問いによって構成されるリソース・ベースト・ビュー志向の戦略分析フレームワークです。

 名称 問いの内容
V 経済性(value) 大家(自身)の保持する経営資源は大家が外部環境に適応することを可能にするか?
R 希少性(rarity) どれくらい多くの競合大家が、その特定の価値のある経営資源をすでに保持しているか?
I 模倣困難性(imitability) その経営資源を保持していない他の大家はその経営資源を獲得あるいは開発するのに多大なコストを要するか?
O 組織(organization) 大家が保持する価値があり希少であり模倣コストの大きな経営資源を組織全体で使いこなせるか?

一般的にV・R・Iを満たすものは持続的競争優位性の源泉としてその経営資源を保有しない競合大家に比べ収益性の面で優位に立つことができます。

VRIO分析の具体例

VRIO分析の具体的な方法としてはまずは経営資源(人、物、金、情報・ノウハウ、組織、外部資源)を可能なかぎり抽出しそれぞれについてVRIOで分析をしていきます。

例えば、私の場合、法務事務所経営も行っており行政書士で相続遺言業務を行っています。行政書士の資格や法務事務所ビジネスは「人」や「情報・ノウハウ」に該当する経営資源ですがこの経営資源は川上物件を安く買うために非常に役に立っています。今回はこの「行政書士」をVRIOで分析したいと思います。

V(経済性)の分析

経済性での問いとしては該当する経営資源(今回の事例では相続遺言専門の行政書士)を保持している場合、保持していなかった場合と比較して「コスト・支出面」「収益・収入面」で優位に働くか?という視点で分析します。

私の場合、物件を安く購入することで高利回り(高いものだとNOIベースで40%近く)を実現できていることから、この問いの答えはYESということになります。資格など以外でも膨大な資金を持っており、融資を使わなくても物件を購入できる場合などはV(経済性)があるということになります。

R(希少性)の分析

希少性としての分析は競合大家がどれくらい該当資源を持っているかという視点で分析を行います。数百万円から数千万円の資金的な経営資源は競合大家も持っている可能性が高く、R(希少性)の分析ではNOになる可能性が高いです(数億円のキャッシュを持っている場合は希少性分析でもYESとなります)。

今回の事例の「行政書士」は希少性という面でもYESとなるでしょう!行政書士以外でも弁護士や司法書士、税理士などで相続遺言を行っており換価分割や遺言執行、後見などに関わっている場合、YESとなります。

I(模倣困難性)の分析

模倣困難性の分析では該当資源を競合大家が模倣できるか否かという視点で分析を行います(獲得障壁)。行政書士、弁護士、司法書士、税理士などの国家資格の場合、合格率は高くても8%程度となっており、模倣困難性は高いと言えます。

また、数億円のキャッシュを持っている場合も一般的な大家では模倣は困難でありこちらも模倣困難性が高いです。

不動産投資とVRIO分析まとめ

考察

今回は不動産投資とVRIO分析について見ていきました。どのような方でも多数の経営資源を保有していますが私を含め全ての経営資源が持続的競争優位性のある経営資源とは限りません。

不動産賃貸業(大家業)以外の事業でも同様ですが事業成功のコツとしては自己分析などで見つけ出した模倣困難性の高い経営資源をベースにドメイン(事業領域)を策定しビジネスを展開することです。今回の記事が不動産投資やアパート経営の参考になりましたら幸いです。