収益物件の土地評価の手順

こんにちは「百年投資家」です。今回は収益物件の土地評価の手順について記載していきたいと思います。先日、収益物件(アパート+一戸建て)を購入させて頂きましたが土地は固定資産税路線価ベースで約900万円、相続税路線価ベースで約1000万円でしたが半値以下の金額で土地+建物を購入させて頂きました!

このような割安な収益物件を購入するためには論理的な根拠に基づいた交渉(指値)が必要になるケースがあります。土地の評価方法について知っていると論理的な根拠に基づいて交渉を行うことができると共に、失敗する可能性のある物件を購入してしまうリスクを減らすことができます。

土地の評価方法

不動産評価

ある土地を評価しようとする場合、2つの手順を踏まなければいけません。はじめに対象土地の属する地域の地価水準を把握しその後、その地価水準に対して、個別的要因による価格修正を行います。

地域の地価水準の求め方

地域の地価水準を求める最も簡単な方法としては「公示価格」「相続税路線価」「固定資産税路線価」など公的価格を使用する方法です(路線価は「全国地価マップ」で調べることができます)。

公示価格などはいわゆる「お上」が定めた価格だけあって権威があり、指値の根拠として売主を説得するのにはかなり使えます。

しかし、実務上、公示価格は下記の特徴から使いにくいので私は相続税路線価(公示価格の約8割)や固定資産税路線価(公示価格の約7割)を使うようにしています。

  • 実勢価格(市場価格)に比べ1年前後のタイムラグがある
  • 実勢価格と大きく乖離していることも珍しくない
  • 公示されている場所は限られており、知りたい土地の価格を調べにくい

実勢価格を調べる

実勢価格を調べるのには国土交通省の「土地総合情報システム」が使いやすかったのですが2017年7月現在はメンテナンスとなっています。そのため実勢価格を調べるのには不動産業者が使用している「レインズ」か「土地ドットコム」という取引価格を調べることができるサービスを使うと良いでしょう!また、ポータルサイトなどから売り出し価格を調べることはできるので、その価格を参考にしても良いと思います。

実勢価格と公示価格

実勢価格と公示価格を比較した場合、東京や大阪などの都市部では公示価格に比べて実勢価格の方が高くなっています。それに対して地方では実勢価格より公示価格の方が低く、経験上、公示価格の8割〜7割程度が実勢価格となっていることが多いです。

そのため、地方では固定資産税路線価(公示価格の7割の価格)をベースに地域の地価水準を設定すれば実勢価格と大きく乖離することは少ないでしょう!

個別的要因による価格修正

路線価

公示価格や路線価などから地域の地価水準を求めた後、個別的要因による価格修正を行います。上記は静岡県富士市の相続税路線価です。富士市については公示価格に比べ実勢価格の方が若干低く、相続税路線価=実勢価格程度となっております。

上記相続税路線価から個別的要因による価格修正を行います。具体的には下記のような要因に対して修正を行います。

  • 接道している道路はどのような道路か?
  • 接道している道路の幅はどれくらいか?
  • 道路は行き止まりになっているか連続性があるか?
  • 敷地から見て道路がどの方向にあるか?
  • 土地の地形はどのようになっているのか?
  • 間口はどれくらいの大きさか?
  • 土地の大きさはどれくらいか?

以上のような項目によって修正を行います。なお、道路の種類については「用途地域と道路と投資戦略」で掲載しているので参考にしてください。

位置指定道路の土地の価格修正

位置指定道路

上記は位置指定道路の土地の値段(概算)です。角地では値上がりするのに対し、行き止まりの土地で間口が狭い土地では標準的な土地(100%)に比べ価値が減価します。

土地の地形・大きさによる価格修正

土地の地形

上記や下記図は土地の地形による価格修正です。150㎡程度の正方形に近い土地を100%とした場合、土地の大きさや地形によって最大で50%程度まで価値が減価することが予想されます。

土地の減価
(画像引用元:はじめての不動産実務入門)

収益物件購入時の土地評価手順まとめ

基本的に道路は建築基準法第43条1項や42条2項道路の場合、価値が落ちます。また、幅員は広い方が一般的には価値が高いです。

私の場合、地形や道路によって最大で50%程度「地域の地価水準(富士市で言えば相続税路線価程度)」から減価した金額を土地の評価価格として売主様へ提示します。

もちろん、間口もしっかりしていて地形も綺麗な土地の場合は減価しませんし、南東角地などの物件では減価せず加算し評価を行います。

不動産鑑定では査定マニュアルや比準表、路線価、公示価格など、いかにも正しいように見えるものが存在しますが不動産鑑定士の評価も含め、完璧に正しい評価というものは存在しません。

評価の基本は「買主だったらいくらの値段をつけるだろうか?」です。そのため、可能な限り多くの物件を直で見て不動産投資の実務経験を積み重ねることで評価の精度が上昇します。