こんにちは「百年投資家」です。今回は住居系用途地域と不動産投資について記載して行きたいと思います。
これらの用途地域はアパート経営を行う場合や不動産投資をする場合にチェックしておきたいポイントです。なお、商業系用途地域や工業系用途地域については「商業系用途地域・工業系用途地域と不動産投資・アパート経営」で記載しています。
用途地域とは
用途地域とは都市計画区域又は準都市計画区域内において、都市計画(都市計画法第8条など)で定められています。
また用途地域内では一定の建物及び工作物を建築する事が制限されているため、土地の活用としてアパートやマンション一戸建てなどを建設する場合は特に注意した方が良いでしょう!
市街化区域では少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域では原則として用途地域を定めないものとしています。
また、非線引き区域及び、準都市計画区域では用途地域が定められている区域と定められていない区域があり用途地域一覧は下記のようになっております。
第1種低層住居専用地域 | 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する為に定める地域 |
第2種低層住居専用地域 | 主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する為に定める地域 |
第1種中高層住居専用地域 | 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護する為の地域 |
第2種中高層住居専用地域 | 主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護する為の地域 |
第1種住居地域 | 住居の環境を保護するため定める地域 |
第2種住居地域 | 主として住居の環境を保護するため定める地域 |
準住居地域 | 道路の沿線として地域の特性にふさわしい業務の利便性を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域 |
近隣商業地域 | 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行う事を主たる内容とする商業その他の、業務の利便を増進するため定まる地域 |
商業地域 | 主として商業その他の業務の例便を増進するため定める地域 |
準工業地域 | 主として環境の悪化をもたらす恐れの無い工業の利便を増進するため定める地域 |
工業地域 | 主として工業の利便を増進するため定まる地域 |
工業専用地域 | 工業の利便を増進するため定める地域 |
指定無し | 用途規制は無いが、斜線制限の他、建ぺい率や容積率の制限を受ける。 |
第一種低層住居専用地域とは
低層住宅の良好な環境保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては1種低層などと表記されていたりします。高級住宅地の場合もありますが、高級住宅地以外で指定されているケースもあります。
建築基準法による規制
1種低層住専の特徴としては建築基準法によって特定行政庁の許可が無ければ建てる事のできない建物が多い事です。具体的には大学や飲食店、店舗、倉庫、工場などは建てる事ができません。
飲食店やカラオケボックス、料理店、事務所などの建築目的で土地を取得しても特定行政庁の許可が無ければ土地の活用ができなくなってしまうので要注意です!
不動産投資の出口戦略を考えた場合も許可を得なければ使えない用途が多いため流動性が低くなり物件によっては売却しにくい可能性があります。
また、低層住専(1種、2種)には建物の高さ制限があります。建物の高さは、10mもしくは12mを超えては行けません。
どちらの高さが適用になるかは都市計画によって定められます。投資用物件購入時はこれらの事を指摘し値段交渉(指値)ができる場合もあります。
建ぺい率、容積率
第1種低層住専の建ぺい率は30%〜60%で都市計画によって指定されます。容積率は50%〜200%でこちらも都市計画によって指定されます。
例外として、容積率については前面道路の幅が12m未満ならば全面道路の道幅に0.4を掛けた数値が実際の容積率として定められる場合もあります。
建ぺい率とは建物の建築面積の敷地面積に対する割合を言い、容積率とは建物の延べ床面積の敷地に対する割合の事です。
建ぺい率が大きいと敷地いっぱいに建物を建てる事が出来、容積率が大きいとより高い建物を建てる事ができます。
より高い建物が建てれるという事(容積率が高い)は土地の有効活用が出来るという事ですので土地の価値が高いです。
一般的に1種低層住専は高級住宅地以外では利便性が同じ場合、他の用途地域(準住居地域など)に比べると容積率、建ぺい率が低いので価値が低いです。
第二種低層住居専用地域とは
主として低層住宅の良好な環境保護を目的として設定されています。不動産ポータルサイトによっては2種低層などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
2種低層住専の特徴としては1種低層住専に比べれば特定行政庁の許可が無ければ建てる事が出来ない建物が少なくなっている点です。
1種では許可が無ければ建てる事が出来なかった小規模の飲食店、店舗等については2種低層住専では建てる事が出来ます。
出口戦略についても1種低層住専と同様で許可を得なければ使えない用途が多いため流動性が低くなり物件の種類によっては大幅な値引きをしなければ売れないケースもあります。なお、高さ制限や建ぺい率、容積率については1種低層住専と同様となっております。
第一種中高層住居専用地域とは
中高層住宅の良好な環境保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては1種中高層などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
低層住専に比べると特定行政庁の許可が無ければ建てる事が出来ない建物は少なくなります。
中規模500㎡以下の飲食店や店舗も建てる事が出来るようになるため土地利用の多様性が増しますが、ホテルやカラオケボクス、劇場、工場等は許可無しには建てる事が出来ません。
また、低層住専(1種、2種)にあった高さ制限が無くなっていますので指定された容積率の建物を建てる事が出来るようになっている点も低層住専と異なる点です。
建ぺい率、容積率
第1種中高層住専の建ぺい率は30%〜60%で都市計画によって指定されます。容積率は100%〜500%でこちらも都市計画によって指定されます。容積率は低層住専にくらべカナリ大きくなってます。
例外として、容積率については前面道路の幅が12m未満ならば全面道路の道幅に0.4を掛けた数値が実際の容積率として定められる場合もあります。この点は低層住専など住居系の用途地域はすべて同様です。
第二種中高層住居専用地域とは
主として、中高層住宅の良好な環境保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては2種中高層などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
低層住専に比べると特定行政庁の許可が無ければ建てる事が出来ない建物は少なくなります。
1種中高層との違いは飲食店、店舗について、500平米以上の大規模な物でも特定行政庁の許可無く建てる事が出来る点です。建ぺい率、容積率などについては1種中高層と同様です。
第一種住居地域とは
住居の環境保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては1種住居などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
低層住専、中高層住専に比べると特定行政庁の許可が無ければ建てる事が出来ない建物は少なくなります。
大規模飲食店、店舗、自動車教習所、ホテル、プール等も特定行政庁の許可無く建てる事ができます。ただ、カラオケボックス、劇場、工場等は建てる事が出来ません。
建ぺい率、容積率
建ぺい率は50%〜80%で都市計画によって指定されます。容積率は100%〜500%でこちらも都市計画によって指定されます。
容積率は低層住専に比べ高くなっています。なお、角地や防火地域内の耐火建物であるかによって建ぺい率の上限が上乗せされます。
第二種住居地域とは
主として、住居環境の保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては2種住居などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
低層住専に比べると特定行政庁の許可が無ければ建てる事が出来ない建物は少なくなります。中規模500平米以下の飲食店や店舗も建てる事が出来るようになるため土地利用の多様性が増しております。
1種住居で許可無く建てる事が出来なかった、カラオケボックス、パチンコ屋等も建てる事が出来るようになっています。
ただし、劇場や工場等は許可無しには建てる事が出来ません。なお、建ぺい率、容積率などについては一種住居専用地域と同様です。
準住居地域とは
道路沿いの業務の利便性と住居の環境保護を目的として設定されます。不動産のポータルサイトによっては準住居などと表記されていたりします。
建築基準法による規制
一種、二種住居地域に比べても規制が緩和されており、特定行政庁の許可無く建てる事が出来る建物がかなり増えています。住居地域では建てる事が出来なかった、大規模な倉庫や小規模の映画館なども許可無く建てる事が出来るようになっています。
ただ、小規模の工場(150平米以下)は許可無しに建てる事が出来ますが、150㎡を超える物を建てるのには許可が必要になります。建ぺい率、容積率などについては一種住居専用地域と同様です。
住居系用途地域まとめ
住居系用途地域は上記のようになっております。土地から新築で不動産投資をする場合、容積率や建ぺい率、建築制限などは収益性に大きな影響を与えます。
また、店舗や事務所賃貸など住宅系の賃貸物件以外では用途地域によって行うことができるビジネスが限定され収益に影響を及ぼします。
工業専用地域では住宅(アパート、マンション、賃貸用一戸建て)を建てる事ができないため住居系の賃貸業を行うことはできません。今回の記事が不動産投資の参考になりましたら幸いです。
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