こんにちは「百年投資家」のナミヘイです。今回は村上祐章さんの廃墟不動産投資を分析して行きたいと思います。ご本人や投資家の仲間から読んで欲しいと言われたので書籍を購入し読んでみました!
アマゾン等のレビューを見ると「宅建業法違反」などとレビューされていますが今回はその部分ではなく投資として利回り以外の観点から見て行きたいと思います(IRRまでは一般書籍等でも書かれている事がありますが投資の時給という観点はあまり言及されていません)。
不動産投資を含め様々な投資は投資尺度を合わせる事で相対比較して分析する事が出来ます。また、投資自体も売却した段階では時給に換算する事が出来、医者や弁護士等の比較的時給が高いビジネスと比較する事が出来ます。
そのため、弁護士等の士業を行っている場合、士業業務を積極的に行って行くのと投資に時間を使うのではどちらが時間帯効果が高いかを比較検討し時間の使い方の意思決定をする事が出来ます。
フリーターやサラリーマンの場合も同様でどれに時間を使うと最も時給が高くなるかを分析することが出来ます。まずは村上祐章さんの廃墟不動産投資はどのような投資法か見て行きたいと思います。
廃墟不動産投資とは
廃墟不動産投資の詳細につきましては書籍で書かれています。簡単に説明するとボロ物件を購入ではなく借りて転貸し、オーナーに支払う家賃と転借人から入ってくる家賃との差額を稼ぐマージンビジネスです。ビジネスの流れとしては下記のように進み初期の段階で時間がかかる投資(ビジネス)です。
空き家のオーナーと交渉し空き家を借ります。空き家の所有者の調べ方についてはこちらでも書いています。
借りた空き家をリフォームします。DIYの労働投入をメインでリフォームするようです。私も一戸建てのリフォームをDIYで行ってことがありますが50㎡程度の小さな一戸建ての場合、水回りをリフォームしなければ20万円でDIYリフォームすることは可能です。
DIYでリフォームした空き家を転貸します。転貸自体は全く違法性はありません。ちなみにアマゾンのレビューなどで代理という表現が使われており宅建業法違反というレビューがありますが、オーナーと村上さんの間で賃貸借契約、村上さんと賃借人(転借人)の間で転貸借契約を締結し部屋を貸しているので代理ではありません。
村上祐章さんが提案している廃墟不動産投資は初期コストが20万円程度と安い為、利回りという観点では優れた投資法です。利回りとは投資全体の中の単年度を抽出して計測したリターンの事で、FCR(実質利回り)やCCR(自己資本配当率)などが該当します。
しかし、利回りが高かったとしても売却時や投資終了時に大きな損失が出る場合、投資全体としてみるとマイナスなんて事もあります。
下記の投資分析1は地方RC物件に借入を使って投資した場合で売却時に損が出たと仮定しています。表面的には利回りが高く25%の利回りとなっていますが売却時に損が出ているためIRRの計測は不能、収益総額は-200万円となりました。
フルローン地方RC一棟投資
初年度 -400万円
1年目 100万円
2年目 100万円
3年目 100万円
4年目 100万円
5年目 -200万円
利回り(CFベース):25%
IRR:計測不能
収益総額:-200万円
木造ボロアパート一棟投資
初年度 -800万円
1年目 40万円
2年目 40万円
3年目 40万円
4年目 40万円
5年目 1000万円
利回り(CFベース):5%
IRR:8%
収益総額:360万円
反対に投資分析2では利回り5%と低いのですが土地値以下でボロアパートを現金購入したと仮定しています。この場合、売却時に更地にして売却した事でキャピタルゲインが発生しており、IRRは8%まで上昇しています(初期投資額800万円を8%で運用できたということを意味します)。
投資では単年度の利回り(FCRやCCR)も重要ですが投資全体のリターンを見る必要があります。投資全体のリターンを見る指標はIRR(内部収益率)と呼ばれ、IRRでは売却も含め収支を計算します。
もちろん、実際の売却時の値段は神でなければ判りませんが市場価格や売買の経験・過去の売買データー、利回りなどからカナリ正確な概算数値は導きだす事が出来ます。廃墟不動産投資ではこの利回りとIRRは優れていますが投資を時給換算すると収益性はそれほど高くはありません。
IRRと投資の時給の比較
IRRを投資ごとに比べると上記のようになるケースが多いです。このIRRは非常に優れた分析手法ですが時間対効果(時給換算)という観点は抜けています。
例えば投資金額が小さな投資1のパターンと投資金額が大きな投資2のパターンではIRRは一緒ですが投資全体で入って来た収益総額は大きく異なります(3200万円と320万円)。
これは初期投資額が異なる為であり、一般的に初期投資額が大きくなればなるほど投資全体での収益総額が大きくなり投資の時給は大きくなります(レバレッジについても同様で効かせれば効かせるほど収益総額は大きくなります)。
村上祐章さんの廃墟不動産投資は投資全体としてみたIRRや単年度の利回りは優れていますが初期投資額が少ないため(大きく出来ない+大きくしていも意味が無い)、投資全体での収益総額は小さくなっています。
廃墟不動産投資は収益物件の検索や交渉、再生、転貸に時間がかかるため時給という観点でも数字はあまり良くありません。表では投資1と投資2では比較的綺麗な投資物件を現金購入したと仮定していますがその場合の労働時間は100時間もかからないでしょう!
しかし廃墟不動産投資の場合、労働時間200時間と見積もっていますが実際には1つの物件を再生し転貸するまでには、転貸できなかった物件も加味すると200時間以上の労働時間がかかるかもしれません。
そのため、5年間の総収益としては100万円程度、時給に換算すると5千円まで下落してしまいます。ちなみに5000万円の現金買い(投資2)の場合、時給は32万円です。
廃墟不動産投資を否定はしませんが、サラリーマン・士業・医者・経営者で時給が高い方や時給の高いビジネスを持っている場合は行う必要は無いでしょう!反対にフリーターなどで時給の低い仕事をしている場合は廃墟不動産投資を行った方が時間帯効果が高いかもしれません!
- 表面利回りや実質利回り(FCR)は高くリスクも低い投資である
- IRRも高く投資元本の回収も早い
- 投資全体の収益総額は低く、時間がかかる投資であるため時給換算するとあまり旨みがない
不動産投資の時給と廃墟不動産投資
不動産投資を時給換算すると再生の必要が無い新築や築浅収益物件は時給が高くなる一方、再生が必要なボロ物件投資や廃墟不動産投資(ボロ物件の転貸)では時給は低くなる傾向があります。
私自身もボロ物件(主に一戸建て)投資は行っていますが初めのうちは勉強もかねてボロ物件投資を行い、資産が溜まって来た段階では時給の高い新築物件・築浅物件に移行し、その後、資産が1億円〜2億円を超えた段階では労働投入量を最小にできる時給の高い株式投資などへ移行したほうが時間に対するリターン(時間帯効果)は高くなる可能性があります。
まとめ
友人など様々な方から廃墟不動産投資(転貸借での投資)の感想を聞かせて欲しいと言われたのでせっかくなので記事にさせていただきました。時給換算するという視点はDIYでリフォームをするか業者に丸投げするかという点でも重要ですし、様々なビジネスや投資を比較し意思決定する時に使えると思います!
村上祐章さんの廃墟不動産投資は時給以外の面では優れた投資法なので投資を始めたばかりの方、サラリーマン・個人事業主・フリーター・士業・医者などでも時給が低い方(時給換算3000円以下など)は試してみても良いでしょう!今回の記事が不動産投資や廃墟不動産投資の参考になりましたら幸いです。
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