課税事業者で投資物件購入時の消費税の計算と節税

こんにちは「波平の不動産投資」です。今回は課税事業者で投資用物件取得時の消費税の計算と節税について記載していきたいと思います。消費税は登録免許税や不動産取得税、固定資産税、都市計画税などと異なり中古物件だとしても投資家の工夫によって節税の余地があります。

また、投資物件取得時以外に売却時にも必要な知識で基本的に物件売却時は免税事業者で売却したほうが多くの税引き後キャッシュフローを得ることができます。

課税事業者で不動産投資

アパート経営

不動産投資では土地については非課税取引のため消費税がかかりませんが、建物については課税取引のため消費税がかかります(消費税の節税につながります)。

私の場合、経理は一般課税一括比例配分方式を採用して仕分けを行っているので非課税売上げに対応する家賃収入(居住用物件の家賃収入)を得るための建物の取得だとしても一括比例配分方式によって按分比例で課税仕入にすることができます。

課税売上げとなるビル賃貸などの場合は、建物部分について全額課税仕入にすることができるので個別対応方式のほうが節税効果が高いのですがアパート、一戸建て、区分マンションなど非課税売上げ物件の取得では一括比例配分方式のほうがいいと思います(さらに詳しくは知りたい方は税理士に相談すると良いでしょう!)。

一括比例配分方式については国税庁で下記のように説明されていますが、少しわかりにくいので追加で説明を加えておきました。

その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額が(1)の個別対応方式のイ、ロ及びハのように区分されていない場合又は区分されていてもこの方式を選択する場合に適用します。
その課税期間中の課税売上げに係る消費税額から控除する仕入控除税額は、次の算式によって計算した金額になります。

(算式)仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合

なお、この一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。

一括比例配分方式とは

一括比例配分方式とは、すべての「課税仕入高に係る消費税額」のうち、「課税売上割合部分のみ」を控除する方式です。

例えば、課税売上割合が90%ならば、すべての「課税仕入高に掛る消費税額」×90%が課税売上高に係る消費税額に対応する部分となります。

裏を返せば、課税売上割合の反対側(100%―90%=10%)が、「課税仕入高に係る消費税額」のうち、課税売上高に係る消費税額に「対応しない部分」(=控除対象外消費税額)になります。

課税売上割合と消費税の節税効果

課税売上割合とは「課税売上高÷総売上高」で算出し例えば、総売上2000万円、居住用賃貸の家賃収入500万円の場合「1500万円÷2000万円=75%」となります。

そして、該当する年に建物500万円、土地100万円の居住用アパートを購入した場合、建物部分について按分比例で課税仕入になり、消費税を減らすことができます。

上記の例では「500万円×75%=375万円」が課税仕入に対応する消費税の元となる価格で、これに消費税を掛けた数字が消費税の節税効果となります。8%の消費税の場合「375万円×8%=30万円」、10%の場合「375万円×10%=37.5万円」の消費税節税効果があります。

一般比例配分方式の問題点

一般比例配分方式の問題点としては全ての課税仕入が比例配分になってしまう点です。例えば個人事業主で小売業と不動産賃貸業(居住用賃貸)を行っており、先ほど同様に課税売上割合75%の場合、小売業の商品仕入についても按分比例されてしまいます。

100万円の商品を消費税8%で仕入れた場合、課税仕入は「100万円×8%=8万円」となりますが比例配分されてしまうため「100万円×75%×8%=6万円」課税仕入となり、消費税節税効果が半減してしまいます。

節税効果の高い不動産投資法

どの税理士がいいか?
このように一般比例配分方式についてはメリット、デメリットがありますが居住用物件(非課税売上)の初期修繕費も一般比例配分方式では課税仕入にすることができるのでトータルで見ると節税効果の方が高いと感じています。

例として課税売上割合80%で課税売上(小売業)に対応する仕入が100万円、非課税売上に対する建物取得・修繕費が500万円のケースで一括比例配分方式と個別対応方式の消費税節税効果を見ていきます。

個別対応方式

個別対応方式では下記のように8万円が消費税の控除対象となります。建物の取得や修繕費については非課税売上に対応する取得・修繕のため控除できません

「100万円×8%=8万円」

一般比例配分方式

一般比例配分方式では合計38.4万円が消費税の控除対象となり、もし課税売上が200万円(消費税16万円)の場合「16万円-38.4万円=-22.4万円」となり理論上22.4万円の消費税還付を行うことができます(還付を行う場合、かなりの確率で税務署がくるので税理士を使った方がいいでしょう!)。

「100万円×80%×8%=6.4万円」

「500万円×80%×8%=32万円」

このように、一括比例配分方式であれば、その消費税額が課税対応なのか非課税対応なのかはお構いなしに課税仕入に係る消費税額の総額に課税売上割合を掛けた金額だけ控除対象となります。

そのため、自動販売機売上というスキームが流行りましたが税制改革によって還付は難しくなっています。しかし、課税売上割合が高く、消費税を毎年収めている事業を経営している方は居住用賃貸物件(アパート、一戸建て、マンションなど)を購入することで大幅に消費税を節税することができます。

消費税と不動産売買契約書

このように、課税売上割合が高く、契約書に占める建物の金額割合が高い場合、一般課税の一括比例配分方式を採用することで消費税の節税をすることができます。

ただ、不動産取引では売主が消費税課税事業者の場合「売主側は消費税を預かる(後日、税務署に払う)ため建物の比率を下げたい」「買主側は消費税を支払う(後日、消費税を控除できる)ので建物に比率を上げたい」といったように建物代金の金額で利益相反が生じ、金額がまとまらないことが多いです。

一方、売主が消費税免税事業者(一般的な空き家や一戸建ての売買ではほとんどが免税事業者)の場合、そのような利益相反は存在せず、不動産投資家が希望する値段で契約書を作成することができます。

しかし、土地と建物の比率について、どのような値段でも良いわけではなく、基本的に下記のような方法で計算することとされており、買主はこの中から最も、建物価格が高くなる方法で取引するの優位であるとされています。

建物と土地を固定資産税評価額で按分する方法

土地の固定資産税評価額と、建物の固定資産税評価額との比率により按分して計算する方法で個人的には最もよく利用されているように感じますが、築古物件への投資では建物の評価額が100万円以下など小さくなっているケースがあるので不利な計算方法です。土地の価値が低く建物価値が高い地域での新築物件投資では有利な計算方法です。

建物or土地の直を優先的に計算

はじめに建物or土地の適正価格を求めてその金額を全額から控除し土地or建物の価格を求める方法です。適正価格はある程度論理的な金額に基づく必要がありますが絶対的に合っているという金額は存在しません。

不動産鑑定士による評価

不動産鑑定士による評価を利用する方法です。鑑定士は投資家ではありませんので時価や本当の価値は計算できませんが、ある決まった評価法によって評価を出してくれます。ただ、お金がかかるので費用対効果が悪く、最低でも数千万円〜の物件でないと利用しにくいです。

消費税と不動産投資まとめ

今回の記事は免税事業者(サラリーマンで不動産を取得する場合など)の場合、あまり関係がありませんが課税事業者の場合、消費税と不動産投資は密接に関わっており、この知識を前提に物件の選定、契約書の作成、リフォーム、賃貸、売却を行っていきます。

ただ、当たり前のことですが全ての物件で建物価格を大きく取り、消費税の節税効果が高く、減価償却費が大きい事が良いというわけではありません。例えば、個人の購入で5年未満で売却すると、譲渡所得税が高額(約40%)となります。そのため、建物価格を小さくし譲渡所得税を小さくした方がトータルのキャッシュインフローが大きくなる可能性があります。

少し、難しい内容かもしれませんが意思決定に必要な税務知識は可能な限り外注せず内製化した方が判断のスピードが上がり競争優位性が上がるように感じています。今回の記事が不動産投資の参考になりましたら幸いです。

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