こんにちは【百年投資家】です。今回は不動産投資をする上で重要な指標となるNOIやNOI利回り(FCR:Free and Clear Returen)について書いて行きたいと思います。NOI利回りはFCR(実質利回り)とも呼ばれ、投資の意思決定をする上で大変重要な指標です!
私の場合、不動産投資を行う時には必ずFCR(実質利回り)を算出するようにしています。もちろんNOIを算出する過程の運営費用や空室損などは概算数値なので完璧な数値となるわけではありません。
しかし、FCR(実質利回り)は表面利回りよりもより正確な利回りとなりますし、区分所有マンション投資と一戸建て投資などランニングコストが異なる投資案件を同一尺度で相対比較しどちらがリターンが大きいかを比較することができます。
NOI利回りとは
NOI(Net Operating Income)とは営業純利益などと訳されたりします。NOIは空室損や運営費用(管理費、修繕積立金、固定資産税)等が加味されているためGPI(満室時想定家賃 Gross Potential Income)よりも低い値となります。
ただ、物件の力を見る為にはGPI(満室時想定家賃)から算出する表面利回りよりもNOIから算出する実質利回りの方が適しています。
また、業者等が載せている表面利回りや実質利回りには仲介手数料や不動産取得税、登録免許税すら加味されていないものもあるので注意が必要です。
NOIの算出方法
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
1号室 | 50.4 | 50.4 | 50.4 | 50.4 | 50.4 |
2号室 | 20.4 | 40.8 | 40.8 | 40.8 | 40.8 |
3号室 | 9 | 36 | 36 | 36 | 36 |
4号室 | 9 | 40.8 | 40.8 | 40.8 | |
5号室 | 9 | 40.8 | 40.8 | ||
想定家賃 | 79.8 | 136.2 | 177 | 208.8 | 208.8 |
管理費 | 1 | 3 | 4 | 6 | 6 |
固定資産税 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
CATV | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
電気代 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
諸経費 | 7.98 | 13.62 | 17.7 | 20.88 | 20.88 |
NOI | 59.82 | 108.58 | 144.3 | 170.92 | 170.92 |
上記は以前アパートで概算で算出したNOIの例です。NOIを算出する為には以下の指標を知る必要があります。
- GPI(Gross Potential Income)満室時家賃:物件に空室や滞納が全くないと仮定した場合のその物件が一年間で稼ぐ事ができる収入の事
- OPEx(Operating Expenses)運営費用:物件にかかる修繕積立金や管理費、固定資産税、保険料等の事
- 空室損 滞納損:空室や滞納により発生する損失、過去の大家業の経験から算出する事も出来るが、見える賃貸経営等から算出できます
NOIを求める公式は次のようになります。【(GPI)-(空室損 滞納損)-OPEx=NOI】さらにここから実質利回りを求める場合【NOI/物件取得価格(E+LB)=FCR(実質利回り)】となります。
NOIの具体的な算出方法
取得対象物件が新築アパートや中古物件でも空室の場合「at home」「suumo」「homes」などのポータルサイトを駆使し、投資対象とほぼ同一水準の物件の稼働時想定家賃を調査します。
GPIのポイントとしてネット上に掲載されている物件は現時点で空室の売れ残り商品のため実際の客付家賃は少し水準が下回る可能性があります。私の場合、5〜10%の家賃減価を加味しGPI(満室時想定家賃)を算出します。
GPI(満室時想定家賃)には家賃以外に下記のような副次的な収入を含めることができます。
- 看板収入
- 自動販売機収入
- 駐車場収入
- 携帯電話のアンテナ収入など
空室損・滞納損はat homeの「見える!賃貸経営」の数字が参考になります。ただ、実際の空室率は上記の数字よりも低く抑えることができます。また、滞納損についても保証会社を入れるなどリスクヘッジができますのでGPIの5〜10%を見積もっておけば十分だと感じています。
空室損・滞納損は経営している地域によって大きく異なります。大家業の経験が長い場合、過去の経験が最も正しい数字です。経験が短い場合、「見える!賃貸経営」の数字の50%程度で見積もっておけばある程度妥当性のある数字となります。
OPEx(運営費用)は最も計算が難しく、人によって数字が大きく異なります。例えば、購入後3年程度でオーナーチェンジで売却する予定の物件では「原状回復費用」をOPExに加える必要はないでしょう。
しかし、10年以上の長期で運営する予定の不動産では何度か「原状回復リフォーム」をする必要があり、年単位に按分した原状回復費用をOPExとして計上した方が正しい数字となります。
管理会社の管理費、共用部分の電気代、各種保守点検費用、区分所有マンションの管理費、区分所有マンションの修繕積立金、固定資産税、都市計画税、一棟物件の清掃費用、一棟物件のエレベーターなどの設備メンテナンス費用、修繕費、長期運営の場合は原状回復費用など
OPExを概算で算出するとGPIに対し下記のような数字となるケースがほとんどです(OPEx割合)。一般的に面積あたりの家賃が低い地域(地方など)でOPEx割合は高くなる傾向があります。
- 一戸建て・テラスハウス:6〜9%
- 木造アパート:13〜17%
- 一棟RCマンション:16〜22%
- 区分所有マンション:22〜25%
NOIと不動産投資まとめ
いかがだったでしょうか?過去のNOI(営業純利益)ではなく、未来のNOIを算出するためには定性的な情報を定量的な数字に置き換える必要があるため、人によって算出された数字が異なりますがある程度、妥当性のある計算式で求めれば問題ありません。
NOIはマーケティングの4P(Place Product Price Promotion)を駆使して上昇させる事も可能ですが、物件を購入した後にNOIを上昇させるよりもNOIの高い物件を購入した方が楽だし難易度が低いです。今回の記事が不動産投資やアパート経営の参考になりましたら幸いです。
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